予防歯科って守るもの?攻めるもの?

投稿者: | 2021年2月5日
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 予防歯科を「守る」医療とばかり思っていませんか?「予防歯科であなたの歯を守ります」って聞こえはいいですけれど、それだけだと・・・。守ってばかりいては口腔内細菌に負けてしまいますよね。それでは攻める予防医療って何でしょう。大学勤務医の時、形成外科の先生が「何もしなかったり、守りの医療だと老化には勝てないんだ」と話ししていたのを覚えています。まさに予防歯科にも言える話だなと思うんです。フッ化物やセルフケア、プロフェッショナルケアで「攻める」必要があると考えています。今回はそんな話をしていこうと思います。

 厳密な区分があるわけではありませんが、代表的なフッ化物応用の3つでイメージしてみようと思います。あ、イメージです、イメージ。

フッ化物配合歯磨剤=セルフケア=守りの医療

 今では市場占有率が90%を超えるフッ化物配合歯磨剤です。2017年に上限値が1,500ppmに変更され、世界のフッ化物濃度と同等になりました。もし、お使いの歯磨剤がフッ化物配合ではなかったら・・・飲食物の酸や、う蝕細菌からの攻撃から守ることなく攻撃を受け続けることになってしまいますよね。はい、もう傷だらけです。日常意識しなくても、う蝕から歯を守ることが出来るフッ化物配合歯磨剤は「守り」の医療と言っても過言ではないと思います。さらに最近は脱灰部(初期う蝕)の再石灰化を促進するTCP配合の3Mクリンプロ®のようなフッ化物歯磨剤も出てきていますから「攻め」という面もあるかもしれませんね。

フッ化物洗口剤=セルフケア・プロフェッショナルケア=守る+攻めの医療

 今、日本でフッ化物洗口剤を使用している方の割合ってどのくらいいるのでしょうか。私のクリニックでは無歯顎ではないかぎり全員にお勧めしています。スウェーデンでは当たり前にドラッグストアの店頭に並び、誰でも手に取って使用することができます。隣接面う蝕や小窩裂溝などう蝕リスクが高い場所には他のフッ化物応用法やセルフケアよりも簡便で、コストも安く、効果も高いと考えられます。実際、スウェーデンではフロスよりもフッ化物洗口剤の優先順位が高いと教えられました。
 最近、日本でもフッ化物洗口剤がドラッグストアの店頭に並ぶようになりました。歯科医師・歯科衛生士指導の元使用できるフッ化物洗口剤の濃度の半分ですから、やはりクリニックで扱うビーブランド®やミラノール®といったフッ化物洗口剤を使用していただくとよいと思います。

高濃度フッ化物応用=プロフェッショナルケア=攻めの医療

 カリエスリスクの高い方には特に勧めるべきなのが高濃度フッ化物応用。局所応用のガイドラインでは4分間フッ化物を湿潤状態にしなくてはなりませんし、ただ単に歯の平滑面などのノンリスク面に綿球でちょんちょんと塗布するっていうのはどうなのかなと思ってしまいますね。プロフェッショナルケアの視点として大切なのは、いかに隣接面や小窩裂溝などのリスク面をう蝕にしないかということですから。高濃度フッ化物応用実施の場合、リスク面を意識してほしいと思っています。

 う蝕予防学におけるフッ化物応用法でのイメージをお話してみましたが、歯周病予防学でも同様だと思うんです。セルフケア+プロフェッショナルケア、守り+攻めのWケアを意識し予防歯科をサポートしていければ、より質の高い予防歯科医療が提供できると思うのです。

 
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